やはり冬至を過ぎるとどことなく日差しが弱くなってきた。西の方は重く曇天になることが多い。でも薄日になって一時の日差しでも暖かく感じる。しかし今季は早くから黄砂が何度となく空を曇らせ憂鬱な初冬を感じた。
近年は寒い季節風を感じることが少ないが、日本の北の方に久しぶりの冬将軍の到来で、こちらの地方へも北風が吹くことが多くなった。このところ出歩くのを遠慮していたが、少し日が差したので川沿いの散歩へ出かける。はじめは南寄りの風であったが、しばらくして西に回って、さらに北の方へ風が変わり、気がつけば底冷えの空ッ風になっていた。マスクを掛けて出かけたものの体の方は寒風に晒されて風邪をひきそうになった。
庭は、秋の紅葉がスッカリ舞い散って鎮まりかえり、今は満開のようなサザンカの花が乱れ咲いている。花色は白から赤へ、一重から八重と乱れ咲きの花弁は上の方を向いて明る庭を照らしいる。ハラハラと静かに咲き・・・気がつけばパラパラと舞い散って季節の冬空に空っ風を誘っている。
改めて荒れ果てた庭をよく見ると、大手を広げるようなギボシの葉は皺寄せてしなやかに枯れ臥している。薄紫のギボシの花のあとにつけた莢から黒い実が弾けかけていた。庭の片隅で静かに生まれた命が大地へ帰ってゆく時を感じる!冬の季節風が吹くのを今か今かと待っている。
暇を見て風の吹かない土手へ出かける。白い綿毛の付いた枯れ草が目立つ。川沿いの枯れ草の中に赤く色付いたカラスウリの実が揺れ、少し褪せた銀色のススキの穂は西日の逆光に映えいても寂しい。南の法面はチガヤが赤く染まっていかにも暖かそうであるが、背景のずっと西の空は今にも雪が降りそうな空模様に変わってきた。
どうしたことか日の差さない土手の北側の法面には黄色の芥子菜の花咲き始めた。これから強くなる寒い季節風に耐えられるであろうか?帰るころには寒い西風が吹き始め川面が騒がしく光りだした。
冬至 冬が始まったばかりだが、一陽来復(陰が極まって陽がかえってくる、の意)。古来より喜節とされていて、この日を境に日差しが伸びるのである!半日蔭の植物であるヤツデの白い花に虫たちが何時ごろ訪ねて来れるであろう?
ロウバイは、黄色に色付いた葉が舞い散って間もなく時雨がやってくる。その度に蕾に冷たい滴が留り、丸い蕾が膨らんで早々と花が咲きはじめた。